なぜ菜食?
環境のため
【温暖化】 今、世界の肉消費は過剰化しており、これが環境劣化をもたらしています。 世界のGHG(温暖化ガス)排出量のうち、18%は家畜産業が占めており、これは輸送手段による排出量を遥かに上回っています。1), 2) これは主にメタンによるもので、CO2の23倍の温暖化効果があります。 また肥料から排出される亜酸化窒素は、CO2の300倍の温暖化効果があります。
更に動物に与える肥料にもGHGが含まれ、貯蔵や輸送過程でもGHGが発せられ、 牧場を作るためにGHGを吸収する熱帯雨林が伐採されます。
環境保護団体グリーンピースによると、1kgの牛肉を食べることは、人が1人、飛行機で100km飛ぶのと同じだけのGHG排出となり、これは豚肉や鶏肉を食べるのに比べ2倍のカーボン・フットプリントとなります。
日本の「独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所」の研究者も、2007年、
「牛肉1kgを生産することは、平均的な車が250kmの距離を走る際に発せられるCO2の量と同等のGHGを発する」と発表しました。
【資源の浪費】 動物性たんぱく質に頼る食事は、 植物性たんぱく質を頼る食事の4〜5倍の農地を必要とします。3) 1ヘクタールの土地は、
年間18トンの野菜、15トンのジャガイモ、12トンの果物を生産できますが、 白身の肉や牛乳、卵ではわずか400〜500kg、
そして赤身の肉ではほんの33kgしか生産することができません。4)
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各100gの生産に必要な水の量
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各100gの生産に必要な穀物量
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アマゾンで栽培される大豆の使途
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千キロカロリーのお肉を生産するには約5千リットルの水が必要ですが、同カロリーの植物性たんぱく質はその5分の1の水量で生産できます。5)
1986年以降、すでに人間は毎年再生可能以上の資源を浪費しています。6)
【その他の問題】 さらに畜産が環境に与える問題には、
森林伐採、砂漠化、土壌侵食、土と水の汚染、酸性雨、アオコ、そして自然の生息環境の破壊などもあります。
飢餓をなくすため
畜産動物たちに与えられている穀物をそのまま人間の食糧とすれば、20億の人口を十分支えることができます。
飢えに苦しむ人々に供給すべき食糧が、食肉として飼育されている動物たちを肥やすために使われています。
100gの肉を生産するのに、その16倍の1600gの穀物を必要とします。私たちが菜食を選択することは、資源の浪費を防ぎ、5秒毎に餓死する人々を救う解決策になります。
健康のため
動物性たんぱく質の代わりに植物性たんぱく質(豆、ナッツ、大豆製品など)を摂取することで、
飽和脂肪酸やコレステロールの摂取を減らし、同時に繊維や抗酸化物質の摂取が増え、免疫力を強化することができます。
そのため、ガン、心臓病、肥満、高血圧、糖尿病、腎臓病など、その他さまざまな病気のリスクを低減することになります。
また、気候の変動は、将来の地球の健康も脅かすことも忘れてはなりません。世界の温暖化が進行すれば、
大気汚染やそれによってアレルギーや呼吸器系の病気も増えることになり、また、伝染病も増えることになります。
動物のため
世界では、毎年530億の動物たちが人間の食糧として殺されています。 これらの動物たちの67%は工場生産というシステムの中で、日々想像を絶する苦痛を受けています。
去勢や断尾などに鎮痛剤は使われず、手足も伸ばせないようなケージに押し込まれ、薬品とホルモン剤漬けになって生かされています。 私たちがお肉を減らして、週1日でも菜食を選べば、こうした動物たちの苦しみを減らすことができます。
【参照】
1. United Nations Food and Agriculture, "Livestock a major threat to the environment, November 29, 2006.
2. Prof Anthony McMichael et al., "Food, livestock production, energy, climate change, and health", The Lancet, 2007
3. Martin, Pamela. "Study Analyzing the environmental impact of an American diet is meat based diet versus a based on Vegetables. University of Chicago, 2009.
4. Changhui Peng, Sebastian Weissenberger. "CO2, Kyoto and us: a carbon footprint for the city (Part 2)", FrancVert, Summer 2009, Vol. 6, No. 2
5. Daniel Renault (FAO), "Value of virtual water in food, principles and Virtue", 2002, p. 17.
6. Living Planet Report, World Wide Fund for Nature (WWF), 2008
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